テレビ朝日「ポルポ」
平成31年2月16日放送分
「会社の疑問」★なぜハンコは赤色ばかりなの?
「なぜ朱肉は赤いの?」
当店取材における補足として
朱肉のお話の前にハンコの成立ちからご説明いたします
【印章の成立ち】
印章(ハンコ)の歴史は紀元前4000年ほどからと言われるます
古代文明発祥の地では文字が生まれる前に印章は存在したと言われています
印章の原形が生まれたころ、印を写す対象は粘土で、そこに押し付けることによって印を使用し、それを封泥と言い朱肉は未だ使われていませんでした
紙のない時代には手紙は木片に文章を書いてそれを合わせて、紐で括り結び目に粘土を押し付けそこに印を押す(文章の偽造、改ざんを防ぐため)と言われます
その粘土が割れたり壊されていたらその文章は贋物として疑われてしまいます
【朱肉が登場する前に使用されていた水印】
隋・唐時代からは朱で印を捺した実物が現存しています 正倉院文書には8世紀の実物が多く残っていると言われていて、このころは朱肉ではなく〈水印〉と言って朱砂(辰砂(しんしや)朱色の原料である鉱物) を水で溶き油けのない水性の朱肉替わりの物を使っていました 透かしの様に写るとされています その〈水印〉は元の時代頃まで使用されたようです
※朱砂(別名:辰砂・シナバー・賢者の石・龍の血と呼ばれるパワーストーン)
【朱肉の始まり】
朱肉の歴史は宋代の中国で始まったと言われていて、日本に朱肉が伝わったのは鎌倉時代とされています
朱肉は自然界の朱砂(硫化水銀)で出来ていて古来より朱色(赤)の原料として使われてきたもので漆器や書画の赤として用いられてきました
硫化水銀を昇華させたものに希釈したアルカリ溶液を加えて、植物(ヨモギの葉・もぐさ)や和紙などの繊維を混ぜ、ひまし油や木蝋、松脂を入れて練り固めたものです
江戸時代には武士階級は朱肉(朱色)を用いていましたが、庶民の印影は黒のみでした
【血判状と朱肉の赤】
かつて「血判状」の様な大事な証書に自らの血液で指紋を捺すという行為が行われていたので、朱肉が赤いのは擬似的な血液であるからという説もあり、この頃からも命懸けでその行為は行われていたんです
また朱肉の赤は、縁起が良い、または魔除けから来ていて神社の鳥居が赤いのも同じ理由からだとも言われています
【なぜ?朱肉は赤いのか】
朱砂は他の色素に比べ経年変化などによる退色が少ない為、印影が永く残せるという事で
朱色が使われたからと思われます
【なぜ?朱肉と呼ばれるか】
朱肉はなぜ「肉」と呼ばれているかというと、朱肉の朱色と弾力性のある感じが「肉」を想像させるから、という説もあります